潜顕分離空調システム(デシカ)
こんにちは、請川です。
気付いたら10月も終わり、今年もあと2ヵ月、すぐですね、時が経つのが加速している感じがします。
さて今回は、ZEBの機械設備の設計する際、できるだけエネルギー効率の良い機器を選定しますが今回はそのひとつ、潜顕分離空調システム(デシカ)が何故エネルギー効率が良いのかを書いてみたいと思います。
. 顕熱と潜熱とは
顕熱・・温度を変える働きをする熱
潜熱・・物質の状態を変える働きをする熱、蒸発や凝固など
顕熱は、温度を変える働きをする熱のことを指します。つまり、物体の温度を上げたり下げたりする際に必要な熱エネルギーのことです。例えば、加熱や冷却によって温度を変化させる際に顕熱が関与します。
一方、潜熱は物質の状態を変える働きをする熱です。これは、物質が蒸発、凝固、融解、昇華などの相転移を経る際に関連します。物質が相を変えるとき、熱エネルギーは吸収または放出され、その過程で温度の変化は起こりません。
人は汗をかきますが、汗が蒸発する際、皮膚表面から熱エネルギーが奪われ、その結果、体温が下がります。蒸発した汗は水蒸気として空気中に漂いますが、その過程で熱エネルギーは潜熱として存在しており、温度の変化はありません。
エアコンは冷房時に空気を冷やしますが、同時に空気中の水蒸気を水にして湿度を下げています。このとき水蒸気の潜熱は水になるときにエアコンの熱交換機に熱を放出し、熱交換機の温度を上げています(凝縮潜熱を放出) 通常、エアコンは空気中の温度を下げる仕事(顕熱処理)と潜熱の熱の放出により温められた熱交換機の温度を下げる仕事(潜熱処理)の両方を行います。
. エネルギー効率
エアコンは主に冷媒の高低圧差を小さくすることによって消費動力を低減し、エネルギー効率を高めてきました。この手段で効率を高めるためには蒸発温度を高める必要があり、同時に除湿量が急激に低下します。
つまり除湿量とエネルギー効率はトレードオフの関係にあります。
. 顕熱潜熱分離システム
デシカを選定した場合、エアコンも顕熱処理に特化した機器を選定します。
顕熱の処理はエネルギー効率を高めた、顕熱処理に特化した空調機を用い、 潜熱の処理はデシカを使用します。
. 分離することによるメリット
顕熱分離・・顕熱処理に特化することで空調機のエネルギー効率を高くすることができる
潜熱分離・・室内の湿度をきめ細かく制御でき快適性に寄与する、また夏は除湿することによりエアコンの温度設定が高くても快適性を得やすく、冬は加湿することによりエアコンの設定が低くても快適性が得やすい、結果省エネに繋がるという事です。