なぜ送電に交流が採用される

皆さん、こんにちは。Mr.アンドロイドです。今回は電気が伝わる経路においてなぜ交流が採用されるのかを解説させていただきます。

送電イメージイラスト
●発電所

発電所では、流体が持つエネルギーを活用してタービンを回転させ、発電機を駆動し、高い交流電圧を生成します。

●変電所

発電所の電圧が高いため、そのまま家庭で使用できません。使用できるために変電所が必要です。交流電力は変圧器によって比較的容易に電圧を変換できます。変圧器の1次巻き数と2次巻き数を変更することにより、電圧変換が行われます。

$$ \frac{V1}{V2} = \frac{N1}{N2} $$

一方、直流システムでは、変圧器を直接使用することができず、効率の悪い変換方法が必要で、設備が複雑で高価なものになってしまう。「高圧直流→高圧交流→変圧→低圧交流→低圧直流」というプロセスが必要です。

●送電線

発電所で発電した電力を家庭まで送るためには送電線が必要です。電線を流れる電流値が大きいと、電流値の二乗に比例して熱が発生し、それが熱エネルギー(ジュール熱)として損失が発生します。そのため家庭に送電する際の電流はなるべく小さく送りたい。同じ電力の場合、電圧と電流は反比例するため、電圧を高くする必要があります。

$$ I = \frac{P_{load}}{V} $$

$$ P_{loss} =I^2 ・ R$$

例えば、送電線の抵抗や電源、電気の使用する値を下記図のように簡略化して。電圧100kVと1000kVを比較した場合、電圧を10倍に高くすると、電流が1/10と小さくなるので、送電ロスは元の1/100と大変小さくなります。

これが直流の場合、高電圧の変換が複雑で効率が低下するので、交流の方が良いです。

●事故時の遮断が容易

交流はプラス・ゼロ・マイナスの瞬間を繰り返しているため、電源を遮断する時はゼロの瞬間を狙って、もっともショックの少ない電源遮断が可能。

直流は、常にプラス方向のため、電圧ゼロの瞬間がない。電流が大きく流れている中で強制的な遮断は危険である。切り離した部分にアークが継続発生して、放電が引き起こす熱による焼損も懸念される。そのため、直流に零点を作る必要がある。通常は外部に蓄えたエネルギーを逆電流として挿入するか、直流に自励振動の電流を重畳させて零点を作る工夫が必要である。構成が複雑であり、交流回路よりも機器が高価になります。

以上の視点から、発電所から家庭までの長距離を送電する場合、交流電力が広く使用されています。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!